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俺の名前は澤村康太……仮面ライダーカセウェアリー。 俺は神埼士郎と名乗る人物からカードデッキを渡されたその日から普通の高校生ではなくなってしまった。 テレビや映画に出てくるようなモンスターと戦う戦士になってしまったのである。 モンスターだけではない……同じ力を持ったライダーとも戦わなければいけないらしいのだ。 確かに高校生同士の喧嘩ならした事もある。 こう見えてもそこそこ喧嘩には自信がある。 しかし俺の自信はいきなり打ち砕かれた。 ライダーとしての戦いは命の奪い合い喧嘩とは訳が違う。 本当に何処にでもいる高校生だったのにこれから俺はどうなってしまうのだろう。 康太の耳に聞こえる耳鳴りのような音。 俺は終礼が終わるとすぐに音がした場所へと向かう。 その時、ある男子生徒が声を掛ける。 「康太、今日も部活休むのか?いくらなんでもお前最近サボりすぎだろ」 「悪い。今日も家の用事があってさ、行けそうに無いんだよ」 俺はこの高校のサッカー部のエースストライカーだ……いや、だったと言った方が早いか。 最近、ライダーとしての活動が忙しく満足に部活に出れていない。 俺だって本当は部活してみんなと遊びたい……しかし今はそれどころじゃないのだ。 俺は急ぎ耳鳴りのする方へと向かった。 その場所は高校の近くにある廃れた工場。 そこには先着がいた。 それは俺と同じクラスの女子生徒岸田エリカだった。 「岸田?何でお前がが此処に!?」 「澤村君……ここから早く逃げた方がいいよ」 俺は次の瞬間信じられないものを見た。 エリカは一瞬と惑ったようだがすぐに左手でカードデッキを持ちガラスに向けると腰にベルトが現われたのだ。 そして両手で顔面を隠すようにしカードをベルトに差し込んだ。 「変身!!」 すると鏡像の姿がオーバーラップし、エリカはボディは全身黄色で眼の色は青色の蝶を模した仮面ライダージャイルにへと姿を変える。 俺は暫く開いた口が塞がらなかった。 だがこのまま放っておくわけにはいかない。 俺も左手でカードデッキを持ちガラスに向けると腰にベルトが現われた。 右手を真上に上げてゆっくり胸の辺りまで右手を下ろす。 「変身!!」 俺はボディは黒く顔から首にかけて青色、眼の色は真紅のヒクイドリをモチーフにした仮面ライダーカセウェアリーに変身した。 俺は仮面ライダーカセウェアリーに変身し仮面ライダージャイルの後を追うためガラスの中に飛び込みライドシューターに乗る。 ライドシューターとは現実の世界とミラーワールドとの行き来に使用する際のバイクである。 これに乗るたびにまたおぞましいモンスターと命がけの戦いをしなければならないと思い憂鬱になる。 俺がミラーワールドに到着するとその場にはジャイルの姿もモンスターの姿もそこには無かった。 俺はジャイルを捜し廃れた工場の外に出てみると今まさにジャイルがミラーモンスターと戦っているところだった。 ジャイルが戦っているミラーモンスターは茶色い体色をし角がねじれており鋭い刃がついた二又槍を持ち戦っている。 ジャイルが戦っているのはレイヨウ型のモンスター、ギガゼールに間違いないだろう。 俺はそこでまた驚いた。 ジャイルが完全に肉弾戦でギガゼールを圧倒している。 戦い慣れしているようでカードを使った様子も無いようだ。 ジャイルの戦いからは余裕さえ見て取れるほどだ。 確実に俺がジャイルと戦ったら負けるだろう……俺はショックを受けた。 だがそれと同時に同じ高校のクラスメイトと言う事もあり心強い味方が出来たとその時は思っていた。 ギガゼールは敵わないと思ったのか空高くジャンプし逃走を図った。 ギガゼールは50m程の跳躍力を誇るモンスターなのだ。 だがそれもジャイルの前には無駄だった。 ジャイルは召喚機にストライクベントのカードを挿入した。 【SHOOT VENT】 するとレイスアローというジャイルの必殺武器である弓「レイスアロー」を召喚した。 そしてもう1枚カードを挿入した。 【SHOOT VENT】 ジャイルはレイスアローから小さな光の矢を連続で放つ技「エルフコンテニュー」を発動した。 レイスアローから放った無数の光の矢は1本も外れることなくギガゼールに命中しギガゼールは空中で成す術もなく爆散した。 俺は思わず拍手してしまった。 ジャイルはそれに気づき俺の方へゆっくりと向かって来て俺の目の前で立ち止まった。 「スゲー強いじゃん!これから一緒に戦っていこうぜ!」 俺はジャイルに握手するため手を差し伸べた。 しかし次の瞬間、ジャイルは俺の腹部を突如殴った。 つづく
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T-DRAGON QUEST~序章 勇者の目覚め~ part37-371~376 371 :T-DRAGON QUEST:2008/03/23(日) 04 01 04 ID z3hpw9rJ0 それはオルフスール大陸の外れ。 東西を高い山で囲まれた小さな国。そこから始まる物語…… ~序章 勇者の目覚め~ ルフルの村に住む主人公と双子の妹ミルル13歳の誕生日。ちょうどその日は城勤めで家を空けていた父親が帰ってくる日だった。 病弱で過保護気味な母に代わって近くの街マログリフルまで迎えに行くことになった二人。 西の山から悲鳴が聞こえてくるとか、何かの恐怖体験で精神崩壊した女性を尻目に 親切な仕事をしない武器屋に初期装備をもらい、仕事をしない道具屋から言づてとかなづちを受け取り、二人は街へ向かった。 道具屋の頼みに従って売れない防具屋にかなずちを渡し修理屋になることをすすめるが、父親は見当たらない。 町外れにいる飢えたいいスライムのムルイ(父親のおみやげだった)に弁当を食べさせてやると、父親が魔物にさらわれたことを知らされる。 ムルイをつれ、ルフルの母にそのことを告げると、探しに行こうと意気込むも、せき込んで妹に止められる。 こうして二人と一匹で父親を捜す旅が始まった。 アリーナのような肉体派の妹と全能力が低く装備もできない役立たずのムルイを連れて各地を回る主人公。 万病を癒す命の草の噂や、スライム用の装備を扱っていた武器屋の話、 犬の中に隠れた作者などの情報を耳にするが、肝心の父親の手がかりは全く入ってこない。 そんなこんなで旅をする内、洞窟の奥でその命の草を発見する。 ルフルに帰り母親に命の草を与えると、元気になりパーティに加わる。でも4歩ごとに1ダメージを受ける。治ってない。 やがて城の最寄りの街タルソパに着くが、そこでは双子同様に城で行方知れずになった肉親を捜す家族らや 王や兵士、魔物の不審など、なにやら核心に近いような話に満ちていた。 同様に邪悪な物を感じて来たという勇者イケタなる人物にも遭遇する。 またここには引退した珍武器屋が居住しており、そいつからスライムが武装できるようになる帽子の廃棄場所を聞ける。 これで役立たずのムルイはやっと人並み以下になれる。 城下町は人気が無く、城の中の人は話しかけてもなにも反応しない。 僅かに残っていた人の話によると、人に化けた魔物が東の洞窟に入っていくとのこと。 東の洞窟ではバハムの笛が見つかった。これを吹けるのはなぜか母親のセシランのみである。 城の地下倉庫の一角で笛を吹くと、城の片隅で秘密の地下室の階段が開く。 はたして地下室には「バイケタル」なる者を警戒するニセの王が魔物とともに隠れていた。 ニセ王ガイを撃破する一家+1だが、無理に旅をしてきたツケが祟って母親の病がぶり返し、離脱することに。 ガイ王を排除したことによりタルソパに避難していた住民も戻り、活気の戻るガイコビア城。 本物の王が盗み聞いたところによると、ガイが恐れていたバイケタルというのは魔王の名で 下克上の成ったあとは世界征服に乗り出すために「恐ろしいもの」を育てているらしい。行方不明の人もそこにいるとか。 その本拠地に入るには鍵として三つの竜の爪が必要だそうなので、以後それを見つけることが旅の目的となる。 また、なにもしなかった勇者イケタに賞賛とケチを同時につけられ、今後戦闘が長引くと唐突にイケタが参戦するようになる。 爪のひとつはガイが城の地下に隠していた。もう一つは辺境のほこらの双子の老人の間を行ったり来たりして手に入れる。 残るひとつの爪を探すうち、魔物に壊滅させられた旧城の南東に住む物取りと取引をし、ルラミトの雄石なるものを入手する。 ダンジョン内で使うとリレミトの効果を発揮し、フィールドで使うと対の雌石でマーキングした場所に飛べるスグレモノだ。 話が前後するが、雄石を最初に使うと謎の祠にワープし、そこで雌石ともう一つの命の草が手に入る。 再びセシランに草を与え、仲間になる。やはり完治には至らず歩くとダメージを受けるが、 歩くとHPが回復する奇跡の羽衣を装備させることで回復量が減少量を上回るように。 372 :T-DRAGON QUEST:2008/03/23(日) 04 03 18 ID z3hpw9rJ0 旧城コビアキムルの東の山深くにある抜け穴から城の最奥に侵入し、生き残りの兵士と話すと 指輪に意識を封じ込められた少女の話とその指輪を託され、イフットスの町在住の少女ゼルクに指輪を渡すと意識を取り戻す。 しかし少女も父親を失っており、気分は晴れない。消息が分かったら教えてくれとは言っているが、ほぼ諦めているようだ。 それはさておき、抜け穴の途中には分岐が存在し、その先には廃坑となった金鉱のある島があった。世界樹もこっそり生えている。 しかし金鉱はやはり国家の大事、許可証無しでは入れなかった。魔物は入っていくのに。 仕方ないのでガイコビアに取って返し王に許可証をねだる。王もそこに爪があったことを思い出し、あっさりと許可証をくれる。 さて金鉱に向かおうかというところで三度イケタと遭遇する。 こちらの捜査具合が進んでいると見たのか、問答無用でパーティに加わってくる。どうもこの傍若無人さが鼻につく。 ※ちなみにこの時点でDQとしては掟破りの5人パーティが結成される(これ以前でもイケタの一時参入時はそうだったが) はたして金鉱の奥にはやはり金の竜の爪が存在した。しかし欠けていてうまく鍵として機能しない。 そこで思い出したのがマログリフルのかなづちを渡した修理屋。 繁盛してるようでルフルの道具屋に礼も言ってないらしく、修理を頼むと礼を伝えるように頼まれる。 伝えに行くとまたも唐突にイケタが離脱する。この男、実に不審な動きをする。 ルフルでは冒頭の女性が正気を取り戻していた。彼女によるとさらわれた人はまだ生かされているという。その中にはゼルクの父ザルルグスの名もあり、それをゼルクに伝えると いてもたってもいられなくなったのか、凄い勢いで仲間に参入する。 修理屋に戻ると爪はイケタがもう持っていったと聞かされる。おいしいとこ取りか、畜生め。 イケタを追って最後のダンジョンに潜る四人と一匹。広大な迷宮を抜けるとそこにはイケタの姿が。 「疲れたから先に行け」とことんまでおいしいとこ取りかこの野郎。 そのすぐ先にはイケタの言葉通り父親を含むさらわれた人々が囚われていた。そしてその奥には不気味な巨大生物の姿が。 その生き物の名前はモック。ガイがバイケタルから奪った魔物で、人を食べて魔物に変えてしまうらしい。 モックを管理しているとおぼしきガアクマ(ベビーサタンの色違い)は、ガイが倒されたと聞くとモックをけしかける。 モックは恐ろしい魔物だった。そのあまりの大きさはステータスウィンドウが隠れるほどだ。 しかし生まれたてのモックは育ちきっておらず、その恐ろしさを完全に発揮することはなく打倒することができた。 その瞬間イケタが空から現れた。主人公らに傲慢に礼を言うが、どうも様子がおかしい。 ガイを裏切り者と罵倒したり、モックを撃破したことに激怒している。 さらにはあろうことか、モックを作ったのは自分だとまで。 そしてイケタは有無を言わさず襲いかかってきた。 強力な武装に身を固めた勇者イケタは名に恥じぬ強敵だったが、5対1では敵う道理もなくあえなく倒れた。 しかし残されたイケタの盾が蠢き、変形し、巨大化し、一体の南原似で巨大な魔物へと姿を変えた! そう、イケタこそが(正確にはその盾こそが)魔王バ イケタ ルだったのだ。 バイケタルの皮膚は強固で、吐く炎は強力だった。しかし激戦は唐突に終わりを告げる。 本性を現してもなお劣勢を覆せなかったバイケタルは、唐突に敗北を宣言する。 あっけにとられる主人公らを尻目に、数百年後のカムバックを予告してバイケタルはなんとルーラで逃げ去った。 なんとも釈然としない結末だが、とにかく脅威は去った。さらわれた人々の牢を開けて開放する主人公。 ここにようやく家族の再会が成った。唐突に父親から、曾祖父が勇者であったことを聞かされる。 エンディングまできて今さらそんなことを言われても、その、困る。 ダンジョンを出ると、救出した人全員(23人)が全員パーティに加わり、脅威の28人行列が誕生する。 (主人公)、ミルル、この二人の勇者によってこの国だけでなく、 オルフスール大陸全ての国々に平和が訪れたことは言うまでもないだろう…… 373 :T-DRAGON QUEST:2008/03/23(日) 04 06 00 ID z3hpw9rJ0 追記 主人公の名前は続編の2によると、「カロシス」か、それに近い発音の名前だったようだ。 ミルルは2ではイミルフと伝えられていた。 374 :ゲーム好き名無しさん:2008/03/23(日) 12 33 35 ID TRr6FGea0 乙です >脅威の28人行列が誕生する。 見てぇーww 375 :ゲーム好き名無しさん:2008/03/23(日) 15 29 13 ID cVG62fon0 374 このページの一番下に画面写真があるよ ttp //ssrs.at.infoseek.co.jp/tdq1reve.htm 376 :ゲーム好き名無しさん:2008/03/23(日) 15 39 17 ID Jy6OOGRh0 375 棺桶に不謹慎ながらワロタw 南無
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テーマ みんなで確認! 安全・安心保育園 職場名 二子保育園 実施内容と成果
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『月刊COMICリュウ』vol.97 7月号 (徳間書店) 「さすらいエマノン」第4部序章第1話がカラー8ページ掲載。
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索引 保育園 保育園 南予 愛媛県 2008年宇和島市保育園運動会 情報をお寄せください。一番下にゲストユーザー向け書き込み欄があります。 名前 コメント
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人間爆弾の恐怖~序章~ ◆s2SStITHHc 鎮座するヴァルシオン改の眼前に、大破したアカツキを転がす。 一頻りの作業を終えたラウ・ル・クルーゼは∀ガンダムのコックピット内で汗を拭い、 機体を飛ばしてその場を離れる。ヴァルシオンは動かない。 ミストが気絶していることを確認したクルーゼは、とある策を練っていた。 コウ・ウラキが消え、∀ガンダムに自分が乗っている。 その顛末をミストにいかに歪曲して伝えられるかに、彼の今後は大きく左右されるからだ。 先ほど見た、バルゴラ・グローリーとヴァルシオン改の戦闘。 短い付き合いながらも大体把握したミスト・レックスの性格。 それらを総合し、ミストをよりよく活用する為の嘘を練り上げる。 仕込みは全て終了し、後はミストが目覚めるのを待つのみ。 程なくして、ヴァルシオンが動き始めた。周囲を見渡し、困惑した様子だ。 それを上空から見下す∀ガンダムのビームライフルに火が灯り、慎重に狙いをつける。 「さて、一芝居打つとしようか」 完全に再生したコクピットの中でクルーゼが不敵に笑って引鉄を引き、粒子の奔流が放たれた。 ◇ 「ぐっ……お、俺は一体どうなったんだ……?」 目を覚ましたミストは、自分の身体に重大な傷がないことを確認し、機体に火をいれる。 次々と点燈していくディスプレイとコンソールを把握しながら、異変に気付いた。 「ここは地上じゃないか! まさか、俺はあのコロニーから落下したのか……?」 天を仰ぎ見るが、コロニーは当然視認できない。 時間もそれほど経っていないようだし、転移装置に辿り着けたのだろうか? 「でも、そんな記憶はない……俺はどうやってあの敵から逃れたんだ?」 続いて、周囲の様子を窺うミストの目に、大破したアカツキが映る。 そのMSはもちろん、彼の仲間のラウ・ル・クルーゼが乗っていたはずの機体だ。 「ク、クルーゼさん! 一体どうしたんです!」 慌てて通信波を飛ばして声をかけるが、一切反応はない。 ヴァルシオンの腕を伸ばしてアカツキを引き寄せようと、ミストが機体を操作した瞬間。 背後から、ビームが襲い掛かった。 ヴァルシオンのABフィールドが発動し、自機の四肢を狙う砲撃を無効化する。 「くっ! あの子供に追いつかれたか!? ……って、コウさんじゃないですか! 何をするんです!」 振り返るミストの視界に入ったのは、粒子を撒き散らしながら上空に佇む∀ガンダム。 クルーゼと同じく、自分と行動を共にしていたコウ・ウラキ少尉の機体だ。 「コウさん! まさか俺達を裏切ったんですか!? いくら不意討ちしたって、俺はコウさんに降参なんてしませんよ!」 「裏切ったのは君の方だろう……! ミスト・レックス!」 錯乱し、俄かに感情を高ぶらせるミストの耳に届いた声は、想像を裏切るクルーゼの声だった。 自分より遥かに怒りを湛えた口調で、次々とビームライフルを撃ち込んでくる。 「ク、クルーゼさん? 何故あなたがコウさんの機体に乗っているんですか!」 「君がそれを私に聞くかね……! ウラキ君を殺した君が!」 ABフィールドに全てのビームを弾かれつつ、∀は高速でヴァルシオンに接近してビームサーベルを抜く。 応じるヴァルシオンもディバイン・アームを抜いて、重金属粒子で構成された∀の凶刃と鍔迫り合いを演じた。 「俺がコウさんを殺した……? そんな筈はありませんよ! 何かの誤解じゃないんですか!?」 「君はあの青い敵機との交戦後、突如として我々に襲い掛かった! あれが誤解であるものか!」 「そんな……事がっ!」 「私は君を許さない……ウラキ君に託されたこの∀の全てで、君という悪を断つ!」 まったく身に覚えのない憎悪をぶつけられ、困惑するミストに、クルーゼの容赦ない攻撃が見舞われる。 40m近いサイズ差があるにもかかわらず、鍔迫り合いはクルーゼに軍配を上げようとしていた。 身の危険を感じたミストが一旦その場を離脱するべきか、と思案した瞬間、彼の頭に激痛が走る。 (これは……あの時と同じ……まさか!?) 戦いを強制するかのような思考介入。 それを必死で抑えながら、最悪の結論にミストのニューロンが辿り着いた。 (この機体に、搭乗者を暴走させる機能があって……それで、俺はコウさんを……?) クロスマッシャーの発射ボタンに伸びそうになる手を片方の手で押さえる。 見れば、∀が自機に蹴りを入れるようにして離れ、ビームサーベルを突き出して突撃しようとしていた。 「ま、待ってくださいクルーゼさん! 俺の話も聞いてくださいよ! この機体には恐ろしい仕掛けがあったんです!」 「……何?」 ヴァルシオンの眼前で∀がブレーキをかけ、訝る様にビームサーベルを向けたままで武装解除を促す。 話を聞いてくれれば、とミストはディバインアームを放り投げ、機体の両手を上げて降伏した。 ∀はサーベルを収め、地上に降り立ってヴァルシオンに通信を送る。 「……わかった、君の話を聞こう。機体から降りたまえ」 「あ、ありがとうございます!」 喜んで機体から降りるミストは、当然気付かない。 通信先のクルーゼがほくそ笑んでいることに、など。 ◇ 「……どうでした?」 「君のいう通りだったよ、ミスト君」 ヴァルシオンを調べる、と言って機体内部に入り、しばらくして帰還したクルーゼを迎えるミスト。 操縦センスの高いミストは碌にマニュアルなど読まずに操作していたのだが、 ヴァルシオンのコクピットのどこかにそういったものがあったらしい。 クルーゼは淡々とした様子で、ゲイム・システムの効用について語った。 ミストはそんなクルーゼの目(仮面で隠れているが)に非難の色が混ざっているように感じ、ぼそりと愚痴をこぼす。 「なんで俺が責められなきゃいけないんです……責めるべきなのは、この機体を支給したシャドウミラーの方でしょ」 「それはそうだが……」 ミストの言葉に、流石のクルーゼも少々不快感……というより違和感を覚える。 事実は違うとは言え、自分のせいで人が死んだという事を突きつけられたのにこの態度はいかがなものか。 一方のミストも、自分を無言で見つめるクルーゼとの間に険呑な空気を形成する。 (やはり姿形が同じでも宇宙人は宇宙人というわけか……意外と扱いが難しいのかも知れんな) (俺が悪くないって事は分かった筈なのに……地球人ってのはみんな結果だけで人を非難するのか……!?) ミストは罪悪感からか、自分がコウをどう殺したのか詳細を聞く気にもなれなかった。 なんともいえない重い空気を振り払うように、クルーゼがなるべく明るく言葉をかける。 「だが……安心したまえ、ミスト君。ゲイム・システムは外部から止められるようにしておいた」 「本当ですか!」 (嘘だよ……フフフ) 嘲笑を噛み殺しながら、クルーゼがミストに手のひらサイズの赤いスイッチがついた機械を示す。 これを押せば、ゲイム・システムの発動を抑えられると説明を受け、ミストの表情がパッと明るくなる。 もちろんそんな説明は口から出任せで、このスイッチの正体は核ミサイルの起爆ボタンだ。 ミストが気絶している隙にヴァルシオンの内奥に仕込まれた∀ガンダムの虎の子の核弾頭一発は、 このスイッチ一つでいつでも爆発できるように、ヴァルシオンの中で眠っている。 (君が大勢の敵や味方と接触する機会があったなら……私はその場を離れてこれを押すことになるだろう。 他にも敵に撃墜された時に誘爆したりすれば、少なくともヴァルシオンを倒す強敵を一人消せるしな……。 ゲイム・システムと核弾頭による二つの意味での爆弾手駒……いや、人間爆弾とでも呼ばせてもらうか、ククッ) 「ありがとうございます、クルーゼさん! 俺、やっぱりクルーゼさんと会えてよかったです!」 「いや、私も頭に血を上らせて君を攻撃してしまった。許してくれ」 「そんな、俺とクルーゼさんの仲じゃないですか! コウさんの事は残念だったけど、 俺がコウさんの分まで頑張りますから、一緒にシャドウミラーを鎮圧しましょう!」 なんとか鎮火した場の険呑な空気に任せて、クルーゼがミストに地図を示す。 地図に描かれた地上の縮尺は、宇宙MAPにおける惑星と比べて小さすぎた。 「どういうことなんでしょう……わざわざ地球をリングにしておいて、こんな狭い範囲しか使わないなんて……」 「地球の他の場所に、シャドウミラーの本拠地があるのかも知れんな。そら、海上を見てみたまえ」 ミストがクルーゼに促されて海上に視線をやると、そこにはオーロラが出ていた。 比喩でもなんでもなく、海上のある位置……恐らく、この地図の端の部分に、 天と地全てを覆うような旭光が隔てているのだ。とてもではないが、自然の物には見えない。 「あれは一体……」 「推測だが、あれも空間転移に順じた技術ではないか? 恐らく地図の反対側の位置まで飛ばしてくれるのだろう」 「そうか……禁止エリアに囲まれたりして脱落なんて事、シャドウミラーが許すはずがないですしね」 殺し合いを強要する連中の非道さに憤るミストの肩を叩き、クルーゼが気さくにオーロラを指差す。 「アレに飛び込む勇気はあるかね?」 「もちろんです! シャドウミラーを倒してコウさんの仇を討つ為にも、立ち止まってなんかいられませんしね!」 言うが早いか、ミストはヴァルシオンに乗り込んでオーロラに突撃していった。 不都合な事が起こらないと確信してから、クルーゼもオーロラに飛び込む。 その先にあったのは―――。 ◇ 「うおっ!? なんだいありゃぁ!」 「わぁ……」 ジロン=アモスと相羽ミユキは、突如オーロラから飛び出してきた巨大なロボットに驚いて機体を止める。 彼らもまた、移動中に海上のオーロラを見咎め、好奇心からそれに近づいていたのだ。 警戒するように海上で後退するジンバだったが、クルーゼとミストの受けた衝撃は彼らの比ではなかった。 「なんだ……あの怪物は……」 「アトリームにもあんなのはいませんでした!」 想像したことすらない生物的なフォルムを持つジンバに驚愕するクルーゼに、頼まれもしない補足をいれるミスト。 しかし動転も束の間、クルーゼの駆る∀ガンダムのビームライフルが放たれる。 相当な機動性でそれを避けるジンバを尻目に、ミストが抗議の声を上げた。 「クルーゼさん! いきなり何をするんです!」 「通信より早い威嚇射撃さ。これで相手の腹積もりが読める。我々のように友好的でないならば反撃してくるだろうし、 もしあの怪物の搭乗者(いるのかどうかも分からんがな)が我々と同じ方針で動いているのなら……」 さもありなん、ジンバは動きを止め、交戦の意思を見せずにこちらの様子を窺う。 そして、クルーゼが予想するジンバの次の行動は―――。 (ミスト君のようにバカ正直に通信を送ってくるか、一目散に逃げるか……さて、どちらかな?) 超然とした態度でジンバを見遣るクルーゼ。 しかし、ジンバの次の行動は、そんなクルーゼの予想を凌駕した。 「ジロンさん、どうしましょう……逃げた方がいいんじゃ……」 「へへっ、あいつ等が大真面目に殺し合いをやる気なら、もっとドカドカ撃って来てるよ! 俺の勘によれば、相手は二人ともちょっと取り乱してるだけだと見たね……。 だったら、このジンバのオーバースキルの出番だよっ! まずあの小さい方からいきますか!」 ジンバのオーバースキル『窃盗』。 先ほどミユキをダイテツジンから引きづり出したときのように、手をかざし、掴み取る動作を行うジンバ。 ダイテツジンやヴァルシオンと比べてコクピットの位置が分かりやすい、∀ガンダムにその魔手が伸びる。 「!?」 クルーゼが咄嗟に、顔の前に電流が走るような感覚と共に機体を後退させる。 次の瞬間、クルーゼの仮面は剥ぎ取られ、ジンバの手元へと移動していた。 こんなもんいらねえ、とばかりに海に放り捨てられる仮面。 クルーゼはそれを唖然と目線で追うが、回収できるはずもない。 「ありゃ、外しちゃったよ」 「あの仮面……テッカマンの物じゃないと思うけど……」 通信が通っていない為、両陣営に意思疎通の術はない。 よって、ジロン側のお気楽な空気とクルーゼが吐き出す怒りは噛み合わず。 「おのれ……私の仮面を! ……い、いや落ち着け、あぐっ、あぐっ!」 激昂しかかる精神をなんとか沈め、手持ちの老化抑制剤を懐から取り出して飲みこむクルーゼ。 精神安定剤代わりに使えるほど量があるわけでもなかったが、それでも飲み込まずにいられない。 クルーゼにとってあの仮面は、ただ顔を隠す為のものではなかった。 自分の忌まわしい生まれをなんとかして忘れたいという感傷の現れとも言える存在だったのだ。 とりあえずコクピットにあった赤いサングラスをつけて急場を凌ぐクルーゼに、ミストの困惑する声が届く。 「クルーゼさん、大丈夫ですか!? 今俺の方から通信してみたんですが、あちらに戦闘の意志はないそうです!」 「……盗まれ損という訳か……わ、わかった。一旦陸に降りて会談の場を持つとしよう……」 しっくりとこないサングラスで顔を隠しながら、クルーゼはジンバとヴァルシオンを先導し、陸地に降り立った。 ◇ 「すごい、美女と野獣だ……!」 「な、なんだと!?」 自己紹介を終えてからそれぞれ機体から降り、向き合った四人。 筋骨隆々とした丸顔のジロンと可憐なミユキを見て、あまりに率直な意見を述べるミストに、 ジロンが顔をメロンにするような勢いで食って掛かり、それを仲裁するクルーゼとミユキ。 早くもグループ内のポジションが確定した瞬間であった。 「全く……いきなり撃ってくるわ、人を野獣呼ばわりするわ……なんなんだい、あんた達は?」 「すまなかったな、ジロン君。威嚇射撃だったのだが、誤解させてしまったかな?」 「ご、ごめんなさい……私がジロンさんを止めていれば、クルーゼさんの仮面がなくなる事も……」 「大丈夫さ、ミユキちゃん! それにクルーゼさんにはさっきの仮面よりそっちの方が似合ってますよ!」 最初はピリピリしていたジロンも、ミユキという緩衝材のお陰でクルーゼたちと打ち解け、 お互いにシャドウミラーに敵対する意志を確かめ合い、これまでの行動を語り合った。 もちろんクルーゼはコウの存在自体を語らず、ミストのほうをチラリと見て恩を売る。 少なからず罪悪感を覚えていたミストは、純粋に気を使ってくれたと取ってクルーゼを羨望の眼差しで見つめた。 ジロン達も、それぞれの探している人物やこれまでの経緯をクルーゼ達に教える。 「ふむ……ジロン君もミスト君と同じで、地球の人間ではないのか……驚きだな」 「惑星ゾラを知らないのかい? ミユキもそうだったし、なんか寂しいねえ……なあ、ミスト?」 (俺の出身はアトリームだよ……! ジロンさんのような野生児メインの星とは一緒にされたくなかった……! 大体三日間逃げ切れば何をやっても無罪だなんて、法制度からして破綻してるじゃないか!) 「おいミスト、どうした?」 「あ、いえ。俺も異星人だけど、みんなとメンタルは変わらないつもりですよ」 「そしてミユキ君は私と同じ地球人だが、知る文化や常識はまるで違う、か……」 「地球を席巻するラダムを、本当に知らないんですか?」 きょとんとした顔で問い掛けるミユキに、男性陣が総出で頷く。 あまりに違う文化の集合に、この中では比較的冷静なクルーゼが目眩を覚える。 (素晴らしい……彼らの世界を全て巻き込んだ戦争が見たい!) しかしその目眩は困惑からくるものではなく、歓喜の果てにあるものだった。 シャドウミラーに従って優勝すれば、その夢想も叶うだろう、とクルーゼは震えた。 そんなクルーゼの様子に気付かず、他の者たちはこれからどうするか話し合っている。 クルーゼは気を取り直すと、自分の提案が最も映える瞬間を狙い、議論に割り込む。 「ジロン君とミユキ君が置去りにした、ダルタニアスという巨大ロボットの事だが……」 「ああ、あれね。俺はミユキに乗ったら?って言ったんだけどさ、ああいう巨大ロボは苦手らしいのよね」 「私に最初に支給されたダイテツジンっていう大きなロボットをすぐに壊しちゃったから、不安で……」 「しかし、この場において戦力はあればあるほどいい。できれば回収したいが……」 「じゃあ、俺がひとっ走りヴァルシオンで拾ってきますよ!」 クルーゼがミストに視線をやる。あまりお遣いを頼みたいタイプではない。 かといって、ヴァルシオン以外に50m級の機体を運びうる機体などいないし……否。 パイロットを連れて行けばいいのだ、とクルーゼが思い遣る。 「いや……私が行こう。ミユキ君、諦めるのは試してからでもいいのではないかね?」 「え……」 「もしかしたら、簡単に動かせるタイプの機体かもしれない。同じ地球人のよしみだ、私の∀に同乗したまえ ……最も、君がテッカマンとしての力とやらを使って戦うのなら話は別だがね」 「ちょっとちょっと! 俺はまだミユキを預ける程あんたらを信用しちゃいないぜ!」 「君のお兄さんへの思いには私も胸を打たれた……私にも大事な親類がいてね。 君の気持ちは誰よりも良く分かるつもりだよ、ミユキ君。だからこそ、君自身も戦う覚悟をして欲しいのさ。 誰かを守るために、誰かを傷つけねばならぬ時がある……戦争だろうと、そうでない時だろうとね。 そのために、人は力を求めると言っても過言ではない。それがどんな結果を生もうと省みることなく……!」 ジロンを無視してミユキにだけ語りかけるクルーゼ。 ミユキは迷っていたようだが、やがて決意したようにジロンに告げる。 「ジロンさん……私、クルーゼさんとダルタニアスを取りに戻ります。 このクリスタルは、お兄ちゃんの為の物だから……私は、これを使いません」 「な、なんだって!? いいのかい、ミユキ!」 「私も、力を貸してもらうだけじゃ悪いですから。お兄ちゃんだけじゃなく、皆の為に戦います……たとえ、短い命でも」 微笑むミユキ。しかし、その微笑みが何を意味するのか、ジロンだけには分かる。 先ほどは軽い調子で言ったが、小一時間前にダルタニアスを発見した時はひと悶着あったのだ。 放置されていたダルタニアスを諦めた時、ミユキの顔には戦いへの拒否感があった。 それでも尚、戦う覚悟を決めた彼女を、どうして止められるだろうか。 「わかった……俺も、付き合うよ」 「それは必要ない。ジロン君、君にはミスト君と共に、雪原地帯の市街地に向かって偵察を願いたい。 我々もすぐにそちらにいくから、待ち合わせといってもいいだろうが」 「おいおい、だから俺はまだあんたらを信用してないって……」 言いかけるジロンに、クルーゼが自分のディバッグを投げ渡す。 そこには、この島で生きるために不可欠な食料など、一つの欠損もなく全てが封入されていた。 ミユキに促し、彼女の分もジロンに預けるクルーゼ。 「これで、私が仮に彼女を殺しても何も得をすることはなくなった訳だ。なんなら、∀の武器も預けようか?」 「貸してくれるってんなら貰いますけどさ。う~ん……分かったよ。とりあえず信用してやるさ」 迷いなく自分のメリットとなり得る全ての物を預けたクルーゼを一応認め、ジロンは渋々頷いた。 ビームライフル、ガンダムハンマー、ビームサーベルなど、めぼしい装備をジンバに移す∀ガンダム。 一方、置いていかれそうになったミストが、クルーゼに小声で伺いを立てる。 クルーゼがいなければ、ミストにとってゲイム・システムを抑えるのが困難になるのだから、当然だろう。 「でも、徒手空拳で大丈夫なんですか? クルーゼさん。(それに俺の機体の、あのシステムは……)」 「問題ないさ。この機体のポテンシャルならば、手刀だけでもそれなりに戦えるよ。 (なるべく熱くなって戦わないようにしたまえ。そう長く離れるわけでもないし、戦闘を避けて動いてもいい)」 ミスト達は知る由もないが、それに加えて∀には核ミサイル、ビームドライブユニットといった武装がある。 クルーゼはそれを知っていて、戦力を増強し、かつ場合によってはミストたちを見限って行動できる流れを作る為に、 偽りの仲間に武器を預けて単独行動するという愚を犯したのだ。最も、今のところはミユキを殺すつもりもない。 (しばらくは君達と共に行動するのも悪くない。テッカマンとやらに興味もあるしな) クルーゼはミユキをコックピットに乗せ、ミストとジロンの挨拶に返答しながら、∀を発進させた。 道中、より詳しくミユキの知り合いの話を聞こうと話題を振る。 "タカヤお兄ちゃん"ことDボゥイ、テッカマンブレードという男について、熱の入った解説を受けるクルーゼ。 妹が兄に向ける感情としては少々常軌を逸した物を感じるクルーゼだったが、とにかくその男は強いらしい。 彼女を手中に抑えておけば、大変使い出のある駒と成りうるだろう。 (家族、か……全く、素晴らしい物だよ) 敬慕する兄を語るミユキは気付かない。 本来の持ち主が、いやらしい視線で婦人を舐め回すために使ったサングラスの下の、クルーゼの本心に。 (なあ……ムウ、レイ……) その、皮肉に。 【ジロン・アモス 搭乗機体:ジンバ(OVERMAN キングゲイナー) パイロット状態:良好 機体状態:良好 現在地:D-7 第一行動方針:雪原の市街地に向かい、クルーゼとミユキを待つ 第二行動方針:ティンプと決着をつける 最終行動方針:シャドウミラーをぶっ飛ばす 備考:ジンバは∀ガンダムの武装を一部借り受けています】 【ミスト・レックス 搭乗機体:ヴァルシオン改@スーパーロボット大戦OGシリーズ パイロット状況:良好 機体状況:前面部装甲破損 エネルギー消耗(中) 核弾頭秘蔵 現在位置:D-7 第1行動方針:仲間を集める(レイ、ディアッカ、カナード優先) 第2行動方針:雪原の市街地に向かい、クルーゼとミユキを待つ 第3行動方針:戦いに乗った危険人物、イスペイルは倒す 最終行動方針:シャドウミラーを倒す】 ※ゲイムシステムは、戦闘が終了すると停止します。一定時間戦闘していると再び発動。 ※ヴァルシオン改の内部に核弾頭がセットされました。クルーゼの遠隔操作でいつでも起爆できます。 【ラウ・ル・クルーゼ 搭乗機体:∀ガンダム@∀ガンダム パイロット状況:良好 仮面喪失 ハリーの眼鏡装備 機体状況:良好 核装備(1/2) 現在位置:C-7 第1行動方針:手駒を集める(レイ、ディアッカ、カナード優先) 第2行動方針:ダルタニアスを取りに行って、雪原市街地でミストたちと合流する 第3行動方針:手駒を使い邪魔者を間引き、参加者を減らしていく 最終行動方針:優勝し再び泥沼の戦争を引き起こす(できれば全ての異世界を滅茶苦茶にしたい)】 ※マニュアルには月光蝶システムに関して記載されていません。 ※ヴァルシオン内部の核弾頭起爆スイッチを所持。 【テッカマンレイピア 搭乗機体:なし(∀ガンダムに同乗中) パイロット状態:体力消耗 現在地:C-7 第一行動方針:タカヤお兄ちゃんを助ける 第二行動方針:私も……戦う! 第三行動方針:アックス、ランス、アルベルトに警戒 最終行動方針:みんなで生きて帰れる方法を探す 備考一:テッククリスタル所持 備考二:Dボゥイの異常に気が付きました】 【一日目 9 30】 BACK NEXT 063 強さの理由 投下順 065 家族 059 あてにならないパートナー? 時系列順 068 白い悪魔 BACK 登場キャラ NEXT 037 仮面の下の涙を拭え ジロン・アモス 087 復讐するは我にあり(前編) 042 破滅を望む者、破滅を呼ぶ物 ミスト・レックス 087 復讐するは我にあり(前編) 042 破滅を望む者、破滅を呼ぶ物 ラウ・ル・クルーゼ 068 白い悪魔 037 仮面の下の涙を拭え テッカマンレイピア 068 白い悪魔
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小さな龍と猫の姫 序章 運命というのは、時に暴風のように、個人の人生を絡め取る。 人の生きる道など、まるでお構いなしなのだ。 「……ふう」 時刻は昼。空には太陽が輝いている。 今日は記念すべき日である。身を立てるために、これより都へ降り、晴れの姿を示す時であった。 天気は折良く晴れ、出立には絶好の日取りと、誰もが判を押したように言った。実際、朝に歩き始めた時には、どこまででも走っていける気がしたものだ。 しかし、ほんの少しだけその力を過信しすぎたのかもしれない。昼前頃、昼食を取ろうかと思った 頃合で、彼は自分の身体の失調を感じたのであった。 「……参ったな。日暮れまでには途中の里に着けると思っていたけど」 少年は、湿らせた布を顔から取り、こめかみを揉み解した。布はきちんと絞り、荷物の中へ戻す。 今の失調から立ち直るのに、大凡半刻分の時間を使ったと自分の体内時計が言う。より確実に判断しようと彼は天を見仰いだ。 そして、眉をひそめる。 「……?」 太陽は、まだ南中していなかった。それと判るのも、周囲の気温が上がりきっていなかったためだ 。幼きころから森を友とし、自然に親しみ続けた彼は、その一つの違和感を引き金にして周囲の異常を次々と確認した。 一つ、森の木々の流れが、いつの間にか変化している。 二つ、鼻を鳴らして息を吸えば、親しんだ山の空気とは違う緑の匂いが鼻腔を突く。 三つ、道は車が通れるほどの幅で、少年の記憶では自分の過ごした山にこれほどの幅を持つ道は二割とない。 四つ、そのいずれもが自分が歩く予定の道程には存在しないはずである。 迷ったか。……否。あの、己の庭と言えるほどに知り尽くした山で、自分が迷うはずがない。何より空気が違う。周囲を見れば見るほどに、ここは自分の知る地ではないとの確信が深まる。 開け放った荷物もそのまま立ち上がると、不意に横から声が響いた。 「そこのガキ、動くな」 声を掛けられた瞬間、少年は素直に動きを止め、反射的に警戒する。 葉摺れの音に紛れ、人の気配が七つ。それに加え、濃い獣臭がそよ風に混じる。ざわざわと木々を掻き分け、左右から人影が姿を現した。 少年はその姿を見て、一瞬思考を止めざるを得なかった。 「リーダーッ、こいつ、マジなんですか、マジですか、耳、耳がねえっ」 「ヒトだ……こいつヒトだぞ」 「うろたえるんじゃねえバカども。……おい、そこの。俺たちを見て声も出ねえか」 お頭、と呼ばれた『もの』が、口を利いた。重たい、鉛のような声だ。それも十分に驚愕に値することだったが、何より問題は、自分を取り囲んだ七人の容姿であった。 身体は彼らは濃い体毛で覆われ、皆一様に薄汚れた襤褸服を纏っている。――否、体毛と呼ぶのは不適切だろう。その有様ときたら最早毛皮と呼んだほうが相応しい。極めつけには、一人の例外もなく 首から上に、獣の顔が載っていた。 魑魅魍魎の類かと疑うも、相手は人語を解す様子。首領格と思しき眼帯の獣が、呟くように言う。 「その驚きよう……落ちてきて間もないらしいな」 確かめるような響き。オオカミのような顔をして、しかし『それ』は口端を裂き、笑った。 「野郎ども、こいつをふん縛れ。だが、傷はつけるなよ」 「わかりやした、リーダーッ!!」 号令一下、周りの狼人間達が囲む輪を狭め始める。その手には、ギラリと光る円月刀が握られていた。自分に集中する、殺意ではない――しかし害意に限りなく近い、欲望にまみれた視線。 少年はこの事態について、それ以上考えるのをやめた。 ――ぱん、と音が響く。 「あ?」 「……こいつ、何の真似だ?」 部下が珍妙な声を上げたのを聞き、狼たちのリーダー――バーゼルは眉をひそめた。 視線の先で、ヒトの少年が荷物を落とし、右拳で左手を打ったのである。両足をぴたりと合わせ、直立不動の体勢をしたまま、少年はゆっくりと頭を下げた。 復位するなり、彼は奇怪な呼吸をしながら腰を落とす。日常を生きるうえで、およそ必要ない呼吸だ。洞窟の中を吹く風笛のような音を立てて吸い、空気を引き裂くような音を立てて吐く。 一呼吸のあと、少年は脇を締め、右手を顎を守るように、左手を胴を守るように構えた。 その構えに見覚えがある。 あれは確か、ライオンの連中がよく使う、素手での格闘術のそれによく似ている―― 「おい、手前ら、油断すん――」 バーゼルが最後まで言葉を口にすることはならなかった。 少年が、地面を蹴ったためであった。 「おごばっ!?」 異様な声が響き、部下の一人が顎をぶち抜かれて後方へ吹っ飛んだ。 「……は?」 誰からともなく、間の抜けた声が漏れる。 少年は、真っ直ぐに突き出した右の拳を、坂を垂れ落ちる水のような速度で引き、ゆらりと次の『標的』へ視線をずらす。 「こ、こいつ、ヒトじゃねえのかッ!!」 『標的』となった狼が、少年の素性を疑った瞬間、芸術的な蹴りが彼の顔面にめり込んだ。 不覚にもバーゼルはその攻撃を見て、美しい、と思った。飛び立つ鳥のような軽やかな跳躍から、空中で身を三度回し、ひねりを加えて斜め上から蹴り下ろす一撃。 あんなことができるヒトなど、聞いたことがない。蹴られた狼はそのまま吹っ飛び、顔面を地面に引きずりながら木立の向こうへ消えていった。 部下達が及び腰になる。それを見て、バーゼルは自分のシミターを引き抜いた。両手に一本ずつ握るのが彼のいつものスタイルである。前に進み出ながら、彼はそのヒトの少年に向けて呟いた。 「おい、ガキ。手前、何者だ」 少年は蹴りを放った体勢からゆっくりと復位し、最初の構えを取り戻した。暫し迷うような沈黙をしてから、小さく、しかしはっきりとした声で言い放った。 「師父『黒龍』(ヘイロン)の元で修行をし、都に戻る途中の修行者にございます。見逃してはいただけますまいか」 年齢を見分けられるほど多くのヒトを見たわけではないが、それでも年に似つかわしくないと思わせる口調だ。着ている服は真新しいが、まるでそれが彼の一部であるかのようにしっくりと馴染んでいる。 ヘイロンという名に、聞き覚えはなかった。バーゼルは少年の素性を探るのを諦め、端的に結論だけを口にする。 「出来ねえなあ、そいつは無理だ。何せ手前らヒトには、売れば遊んで暮らせるような価値があるんだからよ」 言葉に、少年が不可解げに眉間に皺を寄せる。 「戯れを。このような小僧、売り払ったとて飯の種にもなりますまい。……そろそろその被り物を取っては如何です」 落ちてくる人間は稀なれど、その基本的な行動傾向は大体同じだと聞く。すなわち、目の前の種族を否定し、その次にはこれは夢だと思い出す。 「被り物じゃあねェーんだよ。……おい、どけ。このガキは俺が引っ立てる」 萎縮する手下を円月刀の峰で叩き、道を開けさせる。肩幅二人分の距離を開け、対峙した。 見れば見るほどに、脆弱な生き物だ。身を護る毛皮もなければ、分厚い筋肉の鎧もない。およそ戦闘とはかけ離れているはずのその肉体は、しかして二人の部下を戦闘不能に追い込んだ。呻き声は聞こえてくるが、起き上がる気配はない。 「バーゼル=スティンガーだ」 バーゼルは名乗りを上げた。それが通じたか否か、少年は前に出していた右足を引いて直立し、ゆっくりと、五指を伸ばした手のひらと拳を重ねあわせ、深く頭を下げる。 「吼意仁慈拳(コウイジンジケン)が皆伝、鄭孔龍(テイ・コンロン)。……では参ります、ばあぜる殿」 たどたどしい発音で律儀にこちらの名前を呼ぶヒトの子供。思わず微笑ましいものを覚えるが、獲物は獲物である。 最低限必要な息だけ吸い込んで、踏み込んだ。一瞬で間合いに入る。相手は構えを改めたばかりだ。右手に持ったシミターの刃を返し、殴りつけるように振り下ろす。首元を狙った一撃だ。加減はしているが、当たれば気絶は間違いない。 必中の距離になったときも少年は動かなかった。取った、と確信する。しかし、次の瞬間、期待した重い手応えは返ってはこなかった。 バーゼルの剣は、少年の首を素通りする。――否、彼の残像を袈裟斬りにしたのである。 「んなっ……」 右から敵意。バーゼルは二刀を重ね、反射的に胴を守った。そこへ飛び込む、コンロンなる奇態なヒトの影。 「砕ぃッ!!」 裂帛の気合が炸裂し、バーゼルの胴に、二つの刃越しに拳が打ち込まれた。 自分の身体がひしゃげる音を、狼は聞いた気がした。 「ッゴ……アッ!」 反射的に身体を引き、跳躍することで衝撃を逃がす。 バーゼルは手の中の刀を見て、思わず息を止めた。二刀は叩きつけられた衝撃によって歪み、まるで投石器で潰された十字架のように端を反らせていたのである。 「見事。中々の功夫をお持ちです。都に行けば警吏の位を得られましょうに」 「ワケのわからねえことを……口走ってんじゃあねえぞ、ガキがッ!!」 バーゼルは二刀を捨て、拳を握り固めた。その筋力とスピードは、一般的な彼らの種族――誇り高きオオカミの氏族においても、なお抜きん出ていると賞賛されたほどのものだ。 ――殺しはしねえ。しかし死ぬほど痛い目に遭わせてやる。 バーゼルは誓い、ガードを固め、少年へと弾丸のように突っ込んだ。 もう幾度目になろうか。 バーゼルの鉄拳が唸りを上げて、少年目掛けて真上から打ち下ろされた。両者の身長差、軽く頭三つ分。雲を突くようだと表現されるバーゼルの巨体の前では、少年はあまりに儚く小さく見える。 しかし、バーゼルはこの身長差が何の武器にもならないことを早晩悟り始めていた。 空気を引き裂く音がして、またバーゼルの拳が虚空を貫く。バーゼルはすぐさま自分の体勢を頭の中に描く。右拳を出したまま、若干体重は前に乗り、右の胴ががら空きになっている。 電光のように駆け抜けた思考に従い、彼は突き出した右腕を膂力だけで引き、そのまま円を描くように振り払った。 紙風船の爆ぜるような音が響く。少年の蹴りが、彼の腕と交錯した音だ。手の感覚が一瞬失せ、一瞬後に痺れるような痛みが骨を這い登ってくる。 すぐさま右腕を引き戻した。 少年――コンロンが、弾かれた蹴りの反動を生かしたまま身体を返すのが見えたからだ。 「ッシァアア!!」 ヘビの連中が威嚇する時の声よりも、その声は鋭利だった。身を切らんばかりの寒気のする叫びと同時に、目の前で嵐が巻き起こる。 空中で身を廻し右足の一撃、これは顎をそらして避けた。その足を掴み取ろうとして伸ばした右手が、『逆の』足に叩かれる。 そのまま身を回し、最初の体勢より一巡しての右中段蹴り。変幻自在の足技だ。バーゼルは防御を固め、その足の一撃を左腕で受けた。あたりは静寂。いつもなら五月蝿いほどに騒ぐ部下達が、この攻防を前に息を呑んだような沈黙に沈んでいる。 無理からぬことと思えた。 生半可な打撃など怖くはないという自負があった。しかし、この少年が放つ拳脚の技には、その自信も霞んでしまう。 だが―― バーゼルはバックステップをして、目を光らせて少年を見据えた。 「やるじゃねえか。手前、本当にヒトか?」 「……人以外の種が口を聞くと、お思いですか」 少年の息が弾む。口調から、バーゼルは敵に疲弊の色を感じ取る。 脆弱なヒトは、自分達ほど長くは動いていられない。心肺機能が根底から違うのだ。バーゼルはた だ正体不明の敵に怯える周囲の部下とは違った。彼には自分が勝てない存在などいるわけがないという暴力的な自信と、そしてその裏を取るための観察眼が備わっている。 「喋るんだよ、これがな。……いや、よくやってるぜ、手前は。だが、そろそろ疲れてきただろ?」 バーゼルは口端を吊り上げた。 黙して答えぬコンロンの額には、じわりと汗が滲み、流れ落ちている。 ヒト、それも骨格、筋力、体力的の全てが未熟な若年。しかも、『落ち』て間もないとなれば、身体に何らかの失調を抱えていてもおかしくない。さらには認めたくない現実を突きつけられたままにこの長期戦だ。消耗し、戦えなくなるのは時間の問題だろう。 加えて、戦闘の展開が彼に逆風を吹かせる。 攻めるバーゼルに対し、少年は防御からの反撃を主体としている。つまりバーゼルが、駆け寄って殴るというただそれだけの動作を取るのに対し、コンロンはその攻撃を回避し、一瞬の間隙を突いて死角へと回りこんで一撃を加える必要があるのだ。 防御に使う神経と、瞬間的な回避に使う運動量が、両面からコンロンを衰弱させにかかっている。 ――相手が悪かったんだよ、手前はな。 バーゼルが内心で嘯いた瞬間、そよ風に乗って声が届いた。 「……未熟。功夫が足りません。お披露目は先ずは陛下のご覧じるところと決めていたのですが」 コンロンが構えを解き、だらりと両手を下げた。しかしそれも一瞬、雨垂れを掬うように、両手を碗の形にして持ち上げる。 「致し方ありますまい」 少年は胸の前まで上げた手を、突き上げるように天に翳し、同時に右膝を上げた。 刹那の停止。一瞬後、腕を腰元に引くと同時――踏み下ろす! 「――……!!」 戦慄、ただその二文字。 動作だけを見れば、それは児戯以外の何者でもない。 だが、部下が皆一様によろめいたように後ろに下がったのだけは、気配だけでわかった。 コンロンが足を地面に叩きつけた瞬間、一帯が確かに揺れたのである。錯覚であるかないかなど、この際、些少な問題だった。空が落ちてきたような重圧と、目の前にそれを発するものがいるというだけで、十分すぎる。 「……オオオオオッ!!」 バーゼルは吼えた。重圧を寄せ付けまいとするように、ただ、地の底までも届くほどに吼えた。地面を蹴り、加速する。 鋭利な爪を持つその五指を広げ、己の最速を以て飛び込んだ。最早傷つけても構うまいと、割り切った。――否、割り切った、と言うのは正しくない。 殺さなければ殺されると、彼の本能が叫んだのだ。 彼は、そうせざるを得ない状況にまで、たった一瞬で追い込まれたのだ。 コンロンが動く。 その頭から股までを、カギ裂きにするつもりで振り下ろした。風を巻く死の右腕が、彼の頭頂部に襲い掛かり、 止まった。 少年の小さな手が、巨木が如きバーゼルの右腕を支えている。まるで羽毛を受け止めるように、音もなく狼の一撃が静止した。 バーゼルは理解できなかった。何故止められる? 筋肉の絶対量、それが生み出す加速度、そして自身の質量の関係性。狼の知りうる拙い知識を総動員し、あらゆる理論を立てたところで、その所業を説明することは出来ない。 コンロンの手のひらは優しく、静かだった。なのに、背中から這い登るこの寒気は何だ。 彼の細めた目の中に鋼色のきらめきを認めた瞬間、バーゼルは反射的に右腕を引き、再び引き裂くための一撃を放たんとした。 しかしその前に、コンロンがその懐に潜り込む。抱き潰せるような近距離、拳を加速させきることが出来ないような密着状態。 次に吼えたのは、少年であった。 「阿打ァッ!!」 爆発的な発声と同時に、バーゼルの腹に拳が食い込む。 瞬間、臓腑の奥で衝撃が弾けた。 「ご……」 喉の奥が痙攣して、声が凍る。 「打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打打ッ!!」 怪鳥が笑うが如き甲高い独特の発声と、胴にぶち込まれる乱打が狼の耳朶で楽章を奏でる。目の前にいるのはヒトではないと、バーゼルはその瞬間に確信した。 引き戻した瞬間に既に打ち込める状態になっている左右の拳。決して力を入れていないように見える緩い握り。矢襖のような拳の瀑布を放ちながら、コンロンは一撃毎に更に摺り足で前進している。 ――ということは、あれか、オレぁ今、後ろに押されてるのか? 拳の数は既に数え切れない。目で追いきれない。カモシカの連中が横並びになって掃射する光景が頭に浮かんだ。 熱く焼けた鉄の雨のように、無数の拳が胴を滅多打ちにする。バーゼルは遂に爪を振り下ろすことが出来なかった。指先が戦慄くように震え、声すらも奪われたように顎が反る。 「吼意仁慈拳〝四拳〟が壱式……『百華』」 立ったまま意識を手放しかけたバーゼルの耳に、コンロンの澄んだ声が届いた。 意思に関係なく天に向こうとする鼻先を、震わせながら前を見る。 「……〝三分咲〟ッ! 絶掌ォ!!」 腕を揃えた双掌打。 彼の攻撃を見て取ることは出来たが、それが限界だった。 胴にめり込んだ最後の一撃。自分の体の内側から鳴る破裂音に意識を吹き飛ばされ、バーゼルの思考は闇に溶けた。 吼意仁慈拳。 知るものぞ知る、内家拳の流派の末席。〝勁〟を練り、拳脚によりそれを相手に送り込んで発破する技術――〝発勁〟を操るための想像を絶する修練が故、その修行の最中に命を落とす者も珍しくはない。その門徒を叩く子弟のうち、皆伝の位階を得るものはごく一握りである。 その狭く遠き門をくぐり、皆伝を名乗ることを許された者の実力たるや、推して知るべし。その力、その技、既に人の粋になし。 〝四拳〟が壱式、百華。短時間で練りあげた〝勁〟を、百に渡る数に細分し、連続的な寸勁として叩き込む。自らの中で練った勁を敵の体内で反響・増幅し、最後の一撃により炸裂させる魔拳である。 残心を取る孔龍の前で、狼がその巨体をぐらりと揺らした。発する声すらなく、仰向けに倒れ伏す。その目は見開かれたままであり、彼がいかな驚愕の中にいたか容易に推測しうるさまである。 左手を右拳で打ち、深く礼をした。その後、周囲で呆けたように立ちつくす狼たちを睨み据える。 「さあ、次はどなたですか」 返事はなかった。 ただ、狼たちは我先にと、道を争って逃げ出していった。棒で打たれた犬のような裏返った声は恐怖の表れか、何なのか。孔龍は駆け出していく狼たちの姿を消えてしまうまで眺め―― がくり、と膝を突いた。 「……〝三分咲〟が限界だなんて」 自分の掌を見れば、小刻みに震えているのがよくわかる。好調な時に比べ、勁の伝導率が酷く低かった。加えて、一呼吸で練れる勁の総量も少ない。 通常、『百華』は敵を完全に戦闘不能、或いは死亡に追い込むため、〝五分咲〟――五割の伝導率を目安にして放たれる。 孔龍は、この巨漢に目掛け、人間ならば勁を発動するまでもなく撲殺できる〝八分咲〟を仕掛けた。しかし、現実に放ってみれば、拳速は遅く、練った勁は敵に伝わらず、分散して散っていくのである。 結果、常の二倍の手数を加え、最後に渾身の勁を込めた双掌打を打ち込むことで威力を補う羽目になった。 「……技を崩すとは、なんて無様。師父に顔向けできないな、この様では」 自嘲気味に呟いた。全身を襲う虚脱感は、収まるどころかなお酷くなっていた。始めに敵を二人、先手を打って叩きのめしたその時にはまだ感じていなかったものが、一気に噴き出してきたような有様である。 上体を支えているのさえ辛い。地面に強く手を突き、孔龍は荒い呼吸をした。 息の吸い方を忘れてしまったようだ、と漠然と思い、そこではたと思い至る。勁が思うように練れないのも、通りが浅いのも、その所為ではないか。 気を巡らせるため、丹田に意識を集中し、息を吸う。しかして、呼吸が落ち着く気配はなく、逆に世界が回り始める。頭痛がし始め、手から力が抜けた。 まずい、と思ったときには、孔龍の身体は前へと倒れこんでいた。呼吸を落ち着けようとすればするほど、身体の自由が利かなくなる。かすみ始める意識の中、力を振り絞り地面に爪を立てたが、しかして彼の右手は最早土を掴むことさえできなかった。 そのまま、意識を失う。 半刻後。 「――」 倒れ臥したるは、この一帯を荒らして回る狼の盗賊団『レギオン』のリーダーたるバーゼル=スティンガー。そして、一人のヒトらしき少年。 女はそれを見て、口元に手を持っていった。 「壮観ですわね。この男が倒れているところを見るとは」 フリルのついたスカートの裾を直し、女は一人ごちる。しかして、それにも増して驚きなのは、傍にいる少年がほぼ無傷であることだった。 「けれどそれにもましてこのヒト、面白い匂いが致しますわ。お嬢様へお知らせしなくては」 小さな声で、女は喉を鳴らすように笑った。 その頭頂には、ぴんと立った一対の耳がある。白銀の髪と、つり目がちの目。身長は女性としては高い方であった。女は歌うように古代言語を唱え、くるりと指を回す。バーゼルと少年の身体が、宙にふわりと浮かび上がった。 「晩御飯の前にでも紹介したら、きっとお喜びになるでしょう」 女は足取りも軽く歩き始めた。腕をタクトのように振るたび、宙に浮かんだ一人と一匹が彼女のあとに追従する。 されるがままの男たちは、そうして、森の中から忽然と消えたのであった。
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『月刊COMICリュウ』vol.98 8月号 (徳間書店) 「さすらいエマノン」第4部序章第2話がカラー4ページ掲載。
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アイビー星の天国デパートは売り場面積二十二兆坪、実像空間売場としては銀河連邦随一を誇る巨大店舗だ。文字通り虫ピンから宇宙ロケット、切手から惑星改造ボーリングマシン、シロンの花から魔神ガロンまで、戦闘用兵器と不動産を除くありとあらゆる商品が販売の対象となる。この4月、新たに星雲大学に入学した新入生たちが、生活に必要な家財道具を揃えようと、大挙して押し寄せる。銀河連邦随一の広さを誇る天国デパートアイビー星中央店が、人の津波でごった返すのだ。 質問 「お目当ての品は何ですか?」 学生A 「実験用施設の装備された移動式住宅です」 学生B 「多分探検実習もあルんで、適応服転送装置のアる移動住宅でスね」 学生C 「搭載作業艇の転送ができるタイプが欲しいんす」 天国デパートアイビー星中央店の営業主任・ザムディッシュ氏に話を聞いた。 ザムディッシュ 「旧式タイプのベース円盤やジュピターIIタイプのギラン円盤に替わって、ここ数年ではスペースコロニーが最も売れるタイプの移動住宅ですじゃ。ご存知の通り、移動住宅は宇宙船の機能を備えた多重環境適応型の住居ですが、環境適応服や搭載作業艇の転送装置を備えた、1人用、ないしは2~3人用のタイプが最も売れとりますわい。様々な意味で、宇宙刑事の活躍のお陰ですな」 ザムディッシュ氏の言う『宇宙刑事の活躍のお陰』とは3つの意味がある。 第1は銀河連邦の治安がかってないほど安定していることだ。第2はスペースコロニーの技術が銀河連邦警察からもたらされていること、そして3つ目に、文字通りの意味だ。宇宙刑事たちの活躍は転送タイプの環境適応服の一大ブームを巻き起こした。氏の話に登場する万能空間対応型移動住宅の最新モデル『スペースコロニー』には、『馬上試合』と呼ばれる格闘スポーツ用の防具・ウォーリアースーツの転送装置がオプションとして装備可能なのだ。 ザムディッシュ 「ほとんど取り付け希望ですな、もう標準装備も同然ですわい」 ほくほく顔で語るザムディッシュ氏の含み笑いが印象深い。 学生D 「宇宙刑事みたいで格好イイじゃないスか。僕もレポート実習には持ってくつもりスよ。現地でニック先輩みたいに『ましんま』になって活躍するんですははは」 『ましんま』の意味は不明だが、やはり宇宙刑事への憧れはかなり根強い様だ。 第87ブロック銀河連邦警察機構の戦闘要員たち…。 彼らは通称『宇宙刑事』と呼ばれている。閃光を放って金属色の鎧に身を固め、光の剣を片手に超次元戦闘母艦を駆る彼らは銀河連邦の一般市民にとっては平和の守り神であり、銀河の秩序に仇なす宇宙犯罪者にとっては地獄からの使者でもある。 イガ星区担当の宇宙刑事シャリバンは、『太陽の子』と呼ばれる、転送式装甲装備宇宙刑事の第1期生の一員だ。暗黒銀河戦争、フーマ大戦を経て、現在もそのまま赤射タイプのコンバットスーツを用い続けている、数少ない現役の『太陽の子』でもある。 シャリバン 「最初は無我夢中でしたよ、隊長とリリーが二人掛かりでガンガン特訓するんだもの、苦労を共にした戦友のイメージですかね。例の件で試作モデルを着たこともあるけど、瞬間装着タイプには通常装着タイプにはない爽快感がありますね。今はもう大切な相棒ですよ。生涯現役ですね、きっと」 シャリバンは獣星帝国マクーとの戦いで負傷した未開惑星の民間人が、その縁で銀河連邦警察に採用された変わり種の宇宙刑事だ。訓練校出身者以外では、唯一の赤射タイプスーツ装着者でもある。 現在の宇宙刑事らの強さの秘密は掛かってコンバットスーツ(以下CSと表記)の利便性と万能性に起因する。現在銀河連邦の治安は歴史上かつてないほど安定したレベルにあるが、それは全てCSの功績だと言っても大袈裟ではないのだ。 だがCSは宇宙刑事の標準装備としては、けして新しいものではない。 以下は、CS開発に掛けた人間たちの記録である。 第一章 流血の星界へ